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違法建築物件とはどのようなものか?
違法建築物件と聞くと、人目に付かないところに建てられた建築物を想像するかもしれません。
しかし、実際には違法建築物はかなりの数があり、それほど珍しいものではないのです。
当記事では、違法建築物件とはどのような物件で どのようなデメリットがあるのか 解説していきます。
目次
違法建築物件とは?
違法建築物件とは、その名のとおり法律に違反している物件のことです。
建築物に関わる法律には建築基準法、都市計画法、消防法などさまざまなものがありますが、一つでも法律の基準を満たしていない物件は違法建築物件となります。
では、具体的にどのような物件が違法建築物件になるのか見ていきましょう。
1. 建ぺい率・容積率オーバー
違法建築物件の代表的な物が、建ぺい率や容積率のオーバーです。
建ぺい率とは、敷地面積に対する1階の建築面積の割合のことを指します。
例えば、敷地面積が200平方メートルで、建ぺい率が70%と定められている場合、1階の建築面積は140平方メートル以下でなければなりません。
一方、容積率とは、敷地面積に対する建築延べ面積のことです。
先ほどと同じ土地に2階建ての家を建てる場合、容積率が150%と決められていれば、延べ床面積は300平方メートルまででなければなりません。
通常、建築図面を添付して建築許可を取った住宅などであれば、違法建築物件にはなりえないでしょう。
しかし、建築許可を取得してから図面とは異なる仕様で家を建てたり、所有者が建築許可を取らずに違法に増改築したりした結果、建ぺい率・容積率オーバーの違法建築物件になる事例もあるのです。
2. 斜線規制違反
家を建てる場合、向かいの建物の採光に配慮したり、近隣の家の日照を守ったりするために道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限などの基準が建築基準法によって定められています。
これらの斜線制限は、地域や用途によって異なるため、一概にどの高さまで建築できるのかが分かりにくいものです。
そのため、斜線制限によって決められた高さより高い物件を建ててしまい、違法建築物件になってしまう事例もあります。
斜線制限に違反しているかどうかは実際に測量などをしないと分からないため、物件を購入する際は細心の注意を払わなければなりません。
3. 許可を受けた用途と異なる用途で使っている
役場に届けた用途とは異なる用途で物件が使用されている場合も、違法建築物件に該当します。
例えば、店舗として確認申請をしていたにもかかわらず、その後で居住用のスペースとして第三者に貸し出して家賃収入を得ているようなケースは違法建築物件と見なされるでしょう。
あるいは、1階部分を車庫としてマンションを建築した場合にも、建築確認が出てから1階を居住スペースにしてしまった事例もあります。車庫として使うと申請しながら、実際には居住スペースとして貸すのであれば、違法建築物件です。
違法建築物件のデメリット3つ
違法建築物件は、当然のことながらデメリットが多くあります。違法建築物件を購入しようか考えている方がいるなら、メリットだけでなくデメリットも理解しておくことが重要です。
では、違法建築物件のデメリットを3つ見ていきましょう。
1. 買い主への告知義務がある
違法建築物件を所有しており、売却を検討しているのであれば、買い主に違法建築物件であることを告知する義務があります。
違法建築は法的瑕疵にあたり、買い主に知らせなければならないのです。告知したうえで、どのような法的瑕疵があるのか書面で知らせなくてはいけません。
こうした義務を果たさずに違法建築物件を売却すれば、損害賠償請求など 大きなトラブルが生じる恐れがあります。そもそも違法建築物件は敬遠されやすいので、売れないこともあるでしょう。
2. 是正勧告のリスクがある
違法建築物件を所有していると、行政から是正勧告が出されるリスクがあります。
違法建築物件は、建築基準法や都市計画法、消防法などの法律や条例を遵守していないので、行政から是正するよう求められても文句は言えません。
例えば、建物の高さを低くするよう、もしくは延べ床面積を少なくするよう求められることが考えられます。
自分が所有している物件であればもちろんのこと、売り主から違法建築物件であるとを知らされていた上で購入した物件も、自費で改築しなければなりません。違反の程度によっては多大な出費になることが予想されるので、違法建築物件にはかなりのリスクがあるのです。
3. 購入時に住宅ローンが下りない恐れがある
違法建築物件の別のデメリットは、購入時に住宅ローンが下りない恐れがある点です。住宅やマンションは購入時に多額の資金が必要となり、住宅ローンを組んで資金を調達する方が多いでしょう。
しかし、違法建築物件を購入しようとすると、金融機関から融資を断られる可能性が高いです。
数十年前であれば、金融機関もそれほど審査を厳しくせず、違法建築物件であっても融資を実行していましたが、現在ではコンプライアンスの観点から審査が厳しくなっています。
自己資金で違法建築物件を購入できるケースは別として、融資を受けたい場合には違法建築物件を避けるのが賢明です。
違法建築物件のメリット2つ
違法建築物件は法令に違反している物件であるものの、購入や所有にはメリットがわずかながらあります。不動産投資を考えている方は、違法建築物件のメリッ も知っておくとよいでしょう。
では、違法建築物件のメリットを2つ見ていきましょう。
1. 物件の価格が安い
違法建築物件のメリットの一つは、物件価格が安い点です。先述のとおり、違法建築物件にはリスクがあり、住宅ローンも下りにくいため、買い手が付きにくい傾向があります。
買い手が付かなければ、売り手は販売価格を下げるしかありません。そのため、立地や築年数などの条件からすればかなり安い物件を比較的簡単に見つけられるのです。
利回りの良い物件を探している方は、違法建築物件も投資の対象と考えられるかもしれません。
2. 住宅ローンが組める場合もある
基本的に金融機関は違法建築物件に融資しませんが、これはメガバンクや地方銀行のような大手の金融機関の場合です。
地元密着型で、中小企業の経営者に寄り添うことの多い信用金庫であれば融資を受けられる可能性があります。
さらに、重要なのはどの程度の違法建築なのかという点です。例えば、建ぺい率・容積率がオーバーしているケースでも少しだけの違反であれば、ローンが組めるケースもあります。
きちんと調査してみたら、価値の高い物件を安く買えるチャンスということもあるので、あきらめずに調査をしてみましょう。
違法建築物件には注意が必要
違法建築物件は、何らかの法律に違反している物件であり、かなりの数が見られます。違法建築物件を所有したり購入したりするといろいろなリスクがあるので注意が必要です。
不動産を購入しようと考えている方は、さまざまなリスクを考慮した上で決定を下すようにしましょう。